公正証書により強制執行する方法

「公正証書を作成しておけば強制執行するときに安心」という言葉はよく聞きます。
ただ、どんな公正証書でも強制執行できるというものではありません。公正証書によって強制執行するためには一定の条件を満たすことが必要です。

強制執行の申立てには、その根拠となる債務名義(強制執行認諾文言付きの公正証書)を提出しなければいけないのですが、執行機関(裁判所・執行官)に債務名義を提出したとしても、それだけでは強制執行をしてくれません。

債務名義に「執行文」を付与してもらうとともに、債務名義を執行の開始と同時にまたはあらかじめ債務者に「送達」しておかなければなりません。

強制執行の申立てに必要なもの

強制執行の申立てには、大まかに言って、

①債務名義
②執行文の付与
③送達

という3つの要件が必要になります。そこで以下、説明いたします。

①債務名義について

強制執行するためには、まずは公正証書が「執行証書」である必要があるのです。
この「執行証書」とは、次の2つの条件を満たしたものをいいます。

1.金銭の一定の額の支払いを目的とする債権について作成された公正証書であること

2.その公正証書に、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述(執行認諾文言)が記載されていること

したがって、お持ちの公正証書で強制執行できるかは、まず公正証書に「支払いを怠った場合は、強制執行を受けても異議がないことを承諾する」というような文言が入っているかをよく確認する必要があります。
これがなされていれば「債務名義」の条件は満たされているといえます。

②執行文の付与

執行文は、債務名義に記載された債権者と債務者の間に債権が現実に存在し、執行力を有することを公に証明する文言です。
執行証書は執行文の付与が必要とされていますので、強制執行するときには、あらかじめ執行文の付与を受けておかなければなりません。
執行文は債権者の申立てによって、付与されるものですので、執行証書の原本を保管する公証人に執行文の付与を申し立てる必要があります。

そして、執行文の付与は、その債務名義の末尾に、強制執行できる旨を付与する方法によって行われます。公証人から執行文の付与を受ければ、「執行文の付与」という条件は満たされたといえます。

 

③債務名義等の送達

強制執行を行うためには、債務名義を、あらかじめ債務者に送達しておかなければなりません。

執行証書の送達申立ては公証人に対して行い、公証人が債権者からの送達申立てを受けて、郵便局に付託して送達を行います(特別送達)。

ただし、債務者本人が公証役場に出向き、公正証書を作成した場合には、公証人が直接債務者本人に対し、公正証書の謄本を交付する方法による送達をすることになります(交付送達)。

そして以上が終了すると、いよいよ公正証書に基づく裁判所での強制執行の申立に入れます。

 

裁判所での強制執行手続きの流れ

1.地方裁判所へ行く 債務者(元夫や借主など)の住所地にある地方裁判所に出向く

持参するもの
・公正証書正本(執行文が付与されたもの)
・送達証明書
・会社の登記事項証明書
(元夫が勤務している会社の登記事項証明書です。
その会社の所在地を管轄する法務局で受け取れます)
・債権者(申立人・元妻)の戸籍謄本
・債権者(申立人・元妻)の住民票
・債権差し押さえ命令申立書
・当事者目録
・請求債権目録
・差し押さえ債権目録
・第三債務者に対する陳述催告の申立書

 

2.地方裁判所が差し押さえ命令発令

強制執行の申し立てが行われると、書類をチェックし、 書類に不備がなければ、裁判所は差し押さえ命令を発令します。

3.裁判所からの送達

発令があると裁判所は、まず第三債務者(元夫の勤務先)に 差押命令を送達し、その後に債務者、債権者に送達します。

4.執行官による取立て

債務者に送達されてから、1週間を経過すると、取立権が発生します。
この段階で、債務者は第三債務者と直接交渉して、差押さえた債権(給与)を自分に支払ってもらうことが出来ます。

5.取立届の提出

債権者が、債権の全額の支払いを受けたときは、 これによって弁済がなされたことになり、 債権者は取立書を裁判所に提出する必要があります。

なお、当事務所では、裁判所による強制執行の前段階である「執行文の付与」、「債務名義の送達」手続きを代行しております。また、裁判所での強制執行の申立については、パートナーの司法書士を無料でご紹介いたします。

公正証書で強制執行する手続きについてお困りの方は、まずはご相談下さい。

 

(標準費用・税別)

公正証書・執行文付与・債務名義の送達サポート:5万円

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