例えば、公立高校の卒業証明書や成績証明書にアポスティーユをつけることは可能です。

では、例えば早稲田大学の卒業生が、留学目的で海外のビザ申請に卒業証書の公証やが必要だといわれている場合に、早稲田大学のような私立大学の卒業証明書にアポスティーユ申請を行うことは可能なのでしょうか?

実は、このような場合、卒業証明書にアポスティーユをつけることはできません。文書の提出先の外国がハーグ条約締結国であっても、日本の私立大学が発行した証明書に直接アポスティーユを付けることはできません

国立、公立の高校等とは異なり、私立大学を含む日本の私立学校が発行した証明書に関し、日本の外務省が直接証明できるのは、公印確認のみです。また公印確認ができる書類も学生向けに発行される卒業証明書や修了証明書、成績証明書に限られています。

ですから、学生向けに発行される書類以外の書類、例えば、私立学校に勤務する職員に対する在職証明書などは、公印確認の対象にすらなりません。

また、提出先がハーグ条約加盟国であっても、国立大学法人等、独立行政法人化した旧国立大学の卒業証明書や成績証明書の原本には直接アポスティーユを受けることはできません

例えば、東京大学は国立大学法人であり、独立行政法人化した旧国立大学ですので、東京大学の卒業証明書や成績証明書の原本には直接アポスティーユを受けることはできません。

 

このような場合、以下のような対処が必要です。

①提出先の国がハーグ条約締結国以外の国の場合:従来どおり、私文書に対する公証人の公証を得た後、外務省の公印確認と提出先の在日大使館、領事館などによる「領事認証」の手続きを採る、または、私文書に対する公証人の公証を得た後、外務省の公印確認と提出先の在日大使館などによる領事認証の手続きを採る

②提出先の国がハーグ条約締結国の場合:私文書に対する公証人の公証を受けてから、アポスティーユ認証を行う

ただし、私立学校の発行する証明書に関しては、提出先がハーグ条約加盟国であっても、アポスティーユ認証を採らずに通常の公印確認と領事認証による方法の方が、手続きが簡単な場合もありますので、ハーグ条約加盟国に提出=アポスティーユ申請が必要、とはならないことがあります。

ですから、実際にこの手続きを行う場合には、事前に相手国に対して問い合わせる等して、充分に調査してから取りかかる必要があります。

当事務所では、私立大学の卒業証明書、成績証明書等の翻訳公証+アポスティーユ代行を行っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。